ガンランド

九四式自動拳銃「前期型」(ハートフォード)

まだ4月なのに、初夏を思わせるような陽気が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

今回ガンランドで紹介させていただくモデルガンは…

こちらのハートフォード製の九四式自動拳銃前期型になります!!

この九四式自動拳銃(以降九四式と呼びます)は以前に紹介した南部式小型自動拳銃と同じ南部麒次郎氏が設計し、大日本帝国陸軍が1930年代に開発、採用した自動拳銃です。

当店はサバゲーグッズをはじめとしたトイガンの買取専門店です。
実際に買取を行っている査定員が記事を執筆しているので、信頼性が高い内容になっております。

九四式自動拳銃の歴史

当時、帝国陸軍の将校准士官が装備する護身用拳銃は軍服や軍刀などと同じく私物・自費調達の「軍装品」扱いであったため、外国から輸入した拳銃などを各自が任意に調達していました。

そのため使用する弾薬の大きさや使用部品、メンテナンス方法も各々ばらばらだったため、国産拳銃に統一しようという声が上がっていました。

そこで日本初の国産自動拳銃である南部式自動拳銃を開発した南部麒次郎は、当時陸軍制式である十四年式拳銃実包(8mm南部弾、8×22mm弾)を使用することにより実包の互換性を高め、機構の簡略化によりメンテナンス性を向上させた新型拳銃を開発しようとしてこの九四式自動拳銃を設計されました。

1934年(昭和9年、皇紀2594年)に陸軍に準制式採用されたため、皇紀にちなみ九四式自動拳銃の名称になりました。九四式のほとんどが名古屋陸軍造兵廠の鳥居松工場で製造され、1934年から、生産が終了した1945年の間に約7万丁ほど製造されました。

九四式自動拳銃の特徴

九四式は小型拳銃としては非常にユニークな設計であり、他に類を見ない日本オリジナルのメカニズムを採用しています。

 

その代表的なものの一つが↑の画像の機構です。

一見するとライフル銃の様なボルト作動式の様に見えるのですが、九四式はショートリコイル方式のスライド作動式になっております。

専門の工作機械が乏しかった当時の日本の手工業主体の工作技術では、諸外国の自動拳銃のように、本体内面に作動構造を構築することが容易ではなく、そのような拳銃で普通に見られる本体内面で構成される作動構造が、一部本体外面で構成されているため、一見すると非常に複雑な構造のように見えるという変わった外観を持っています。当時の日本では、スライドで銃床(フレーム)をはさむ加工技術が未熟であったため、フレームでスライドを囲むという前代未聞の機能になされているこの構造が、一見するとボルト作動式に見えてしまう所以です。しかし、これらの構造が手工業主体の日本の工作技術にマッチし、その製造の簡易さで、低コスト化と、簡単な清掃メンテナンスであれば、機構部が露出しているので、分解せずとも外周を軽く拭く程度で済むというメンテナンス性の向上も実現させています。また諸外国の同種の拳銃に比べて、部品点数が少ないのも九四式の特徴です。

九四式自動拳銃の欠点

九四式には、日本オリジナルの銃であるが故の欠点もありました。

自動拳銃ではごく当たり前の機能である「遊筒自動停止(スライドストップ)」の機能がありません。九四式は撃ちつくした際にホールドオープン状態にはなるのですが、この状態は単にマガジンにスライドを引っ掛けているだけで、マガジンを抜くとスライドが元の位置に戻ってしいます。ですので撃ちつくした際の次弾装填が少し面倒でありました。この構造は十四年式拳銃も同様で、九四式拳銃の方が新型であるにもかかわらず、スライドを固定する機構が採用されていません。

そして本銃最大の欠陥と言われているのが、↑の画像の中央部にある逆鉤部(シアー:引鉄と撃鉄を連動する部品)が露出しているせいで、側面に強い衝撃を与えるだけで暴発してしまったり、安全装置がその露出した逆鉤を単に固定する(押さえつける)だけの機能しか持っていないので、工作精度の悪い個体では、安全装置を掛けていても暴発してしまい、更に、逆鉤と引金の連動性が悪く、安全装置をかけた状態でトリガーを引き、そしてトリガーを戻した後、安全装置を発射位置に戻したとたんに、引鉄を引いた際に中途半端に撃鉄に引っかかっていた逆鉤が板ばねのように反発して撃鉄を解除し、暴発してしまうといった普通では考えられない暴発の仕方をするため、ほとんど安全装置としての意味をなさないなど、(西洋における)“小型自動拳銃の基本的な常識”が九四式には通用しませんでした。後年にこの銃を接収して試験に当たった連合軍側の技術者からは「自殺拳銃(スーサイド・ガン)」と揶揄されたりもしたそうです。

なぜスーサイド・ガン(自殺拳銃)と呼ばれるようになってしまったのか

九四式が米軍に接収された際に、米兵が誤った操作をしてしまい銃弾が発射されてしまった事からきています。

しかし、近代の研究で戦時下の拳銃の扱いが米国と日本とでは大きく異なったため、米国基準ではとても危険なこのシステムも日本基準では全く問題が無かったことが分かっており、むしろ、それ故の合理的な設計であったと評価されるケースもありました。

事実、日本軍での暴発事故の記録は無く、実際に使用されていた方々の後日談でも、そのシステムが問題点として議論に挙がった事は無いそうです。

「そこにはそれがないとおかしい」みたいな先入観が招いてしまった呼称であると私は考えています。

お買取りさせて頂いたお品物の状態

今回紹介させていただいておりますハートフォードの九四式自動拳銃前期型は前述した九四式の特徴を忠実に再現したモデルになっております。

ハートフォード社はこの九四式をモデルガンにするにあたって、特に仕上げの良かった前期型(昭和12年8月製造)を精力的に取材し製作されたそうで、トリガーとシアーバーの連携、複雑な形状のハンマーメカニズムなどを再現しています。

もちろん九四式の欠点であるスライドストップやスーサイド・ガンのシステムも再現されています。

実際に動かしてみたのですが、なまじ普通のハンドガンの事を知っているので、自分自身も当時の米軍の様になってしまいました(笑)。確かに、知っている人間からすると危ないと感じてしまいますね。

最後に

ガンランドではモデルガンに限らず、電動ガン、ガスガン、エアガンはもちろん実際に使われていた軍隊の服や装備、勲章なども買取させて頂いております!

査定だけでも大丈夫ですのでお気軽にお問い合わせください!


To be continued…

この記事を監修した人

株式会社トレードランド 編集部

株式会社トレードランド 編集部

埼玉・大阪・福岡の3拠点でリユース事業を展開中。
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※2023年度実績